- 作者: 野尻抱介,KEI
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/02/23
- メディア: 文庫
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(初音ミクみく:http://vocaloid.blog120.fc2.com/blog-entry-11093.html)【2/23】
今日発売日と聞いて、近所の本屋で買ってきました。
そのまま行きつけの喫茶店に行き、前半分+あとがきまで読んできました。
収録作品は下記の通り。
「南極点のピアピア動画」(SFマガジン2008年4,5月号)
「コンビニエンスなピアピア動画」(SFマガジン2010年2月号)
「歌う潜水艦とピアピア動画」(SFマガジン2011年8月号)
「星間文明とピアピア動画」(書き下ろし)
僕が「ピアピア動画」シリーズを知ったのは、初音ミク特集を組んだ「SFマガジン2011年8月号」の「歌う潜水艦と〜」がきっかけ。
SFマガジン愛読者にとっては長かったでしょうけど、僕から見ると「単行本化早かったな」という印象です。
一寸ネタばらしすると、4作ともニコニコ動画とVOCALOID and 初音ミクとCGM and UGCを露骨にフィーチャーしています。作中、「ピアピア動画」がニコニコ動画、「小隅レイ」が初音ミクに相当します。
「南極点の〜」が発端の星雲賞受賞作、「コンビニエンスな〜」が「南極点の〜」の後に位置するアナザーストーリー、「歌う潜水艦と〜」が「南極点の〜」の世界設定を流用した新作、「星間文明と〜」が前3作を包括した続編です。(2/24訂正)
・感想:読了した「南極点の〜」と、「コンビニエンスな〜」を。
「南極点の〜」は、さすがに賞を取っただけ有って、すぐに世界観に引き込まれ、非常に面白かったです。
「一般人による同人レベルで、宇宙船を作って宇宙へ行く」と書くと荒唐無稽になりますが、作品を読んでくといかにも実現しそうな説得力があります。
クライマックス直前で、ピアピア動画と小隅レイの元に集まった同志により完成した宇宙船の前で、主人公が恋人に「おまえを宇宙に連れてってやる」と口説くシーンは、涙が出るほど感動しました。
「コンビニエンスな〜」は、面白かったけど「南極点の〜」ほどの引き込まれ感は無かったですね。
題材で「蜘蛛」を使ったことによる生理的嫌悪感と、中盤の掲示板のネット上でのチャットシーンで、チャットのフォーマットをそのまま使ったため、掲示板のチャットはやらない僕にとっては読みにくく感じたのが原因かと...
若干の宇宙科学及びニコニコ動画関連の基礎知識が必要ですが、それさえ押さえれば、SFを読み慣れない人でも肩が凝らず楽しく読めて、読後感は愉快痛快。SFファン以外にもお勧め出来ます。
用語解説はこちらをどうぞ。
- 南極点のピアピア動画
(ニコニコ大百科:http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%8D%97%E6%A5%B5%E7%82%B9%E3%81%AE%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%94%E3%82%A2%E5%8B%95%E7%94%BB)
冒頭を確認しただけでまだ読んでない「星間文明と〜」を、これから読むのが楽しみです。
(翌2/24のBlog記事に続きが有ります)